カーボンアクセサリーEAUROUGE

ステレオ・オーディオ区切り線赤
A様
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ER-PSEX
120,000円(1個)
PSE電気用品安全法適合品
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試聴のポイント
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現在ER−PSXを使用していますから、それとの比較をしました。

ER−PSXの長所として感じていることは、楽器の音色に曇りがなくおかしな癖をつけないこと、演奏現場での楽器の音と反響音の描き分けが正確でホールの余韻も豊かなこと、微妙な抑揚もはっきりとわかるほどS/N感が良いこと、背景の静けさが圧倒的でその分演奏の雰囲気が際立つこと、瑞々しい再生になること、などです。

これほど優れた資質を感じるのに、それ以上の長所を感じることができるのか、少し不安を抱いたままの試聴でした。

試聴の前に、エージングとして3週間、合計で約60時間弱ER−PSEXを慣らしました。

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PSXをPSEXに換えて聴き続け、3週間目の日にそのまま、試聴用に選んだCDの演奏を聴きました。
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全体としては、音場が何の違和感もなくふっくらと広がり心地良く、奥行きの深さも自然に感じられ、前に位置する独演者と背後の共演者群との描き分けも自然。

ホールの反響音は快感。音像は相変わらず鋭くて、それでも音楽が痩せることはなく微細な音楽情報は豊か。演奏の自然な迫力は相変わらずです。

PSXに感じる長所は全くそのままで、こうした点がなお一層魅力を増している気がします。

ただこれだけでは違いがはっきりとわからないので、試聴用CDから3曲を連続して聴きPSEXでの再生の感触をよく記憶し、直後にPSXに交換、同じCDで改めてPSXの再生を確認し、比較しました。

以下は両者の比較だけに的を絞った感想です。試聴したCDにハイブリッド盤、SACD盤はなく、二枚は普通のCD、一枚がXRCDです。

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1.メータ/ロサンゼルス・フィル、『THE PLANETS』/Holst から1曲目“火星”
 (JVC、XRCD24、1971年録音のリマスター盤)
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■ER−PSEX

相当優秀なアナログ録音であったことが感じられる盤です。1曲目は多くの楽器の音を聴くことができます。

特に不満点を感じることはなく、曲の最後の場面でオーケストラが一斉に音を出すとき、低域方向への余裕を感じます。それは、ぐいぐいとスピーカーから低域が押し出してくる、といった感触ではなく、再生レンジが良く伸びている、というオーディオ的な感触でもなく、弦楽器群や金管楽器群が一斉に迫力のある音を出したときに客席で感じる、身体に染み入るような音響の圧力とでも言えばいいでしょうか。演奏会で感じることができるその感覚を思い出しました。無理してオーディオの力で快感をひねり出しました、という種類の感触ではありません。

■ER−PSX

PSEXとの違いはほとんど気になりません。少し違うと感じるのはやはり、先に書いた曲の最終部、オーケストラが一気に鳴る場面での余裕度が比較してみると弱いかな、というところでしょうか。音としてわかりやすい場面ですから。弦楽器の音が少し高域方向で華やか。

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2.インマゼール/Anima Eterna、『MOZART』から交響曲第39番・第一楽章
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■ER−PSEX

これはのっけから圧倒的に心地よい音響が広がります。相当に優秀な録音だと改めて感じました。正直、この演奏に惚れ直した、といったほうがいいでしょう。軽快に走る弦楽器群、ふくよかなホルン、すべて満足です。ベルギーのデ・スピル・コンサートホールでの録音のようですが、きっと良いホールなのでしょう。その柔軟な響きと、古楽器特有の繊細で鋭いバイオリンの音色にうっとり。かなりリアルなバイオリンの音。古楽ファンならばわかると思います。

普通のCDなのに、こんなにも心地よい音楽情報がきちんと入っていた事実に驚きました。この種の、ホールの反響音をうまく収めた録音に関しては、PSEXは抜群の能力があるようです。2チャンネル再生でも立体感が豊かだし、その豊かな空間で反響する微妙で複雑な間接音を、濁りなく、狂いなく正確に再現してみせるような印象です。それでいて音像はシャープで存在感があります。太い音像を押し出して実在感を抱かせるのではなくて、音響空間に演奏者の姿が浮かび上がるような、正確な音像の定位。その定位感がまた立体的で、たとえばオーケストラものでほかの楽器を押しのけてバイオリン群の甲高い音だけがスピーカーに向かって左手前に不自然に飛び出してくるような再生にはなりません。録音バランスが良ければ、その良さはそのまま極めて正確に再生されるようです。

■ER−PSX

PSEXからPSXに戻して、かなり驚きました。古楽器のバイオリンの音が、PSEXよりも随分高域で派手に感じるのです。これは比較してみてはじめて感じました。なんというか、ツイーターがいかにもいい音で鳴っている、という感触。オーディオ的に、綺麗に整えられた美音を聴いているような感触です。これはこれでとても気持ち良い古楽器・バイオリンの音には違いないのですが、生演奏での音の感触に近いのはPSEXの方だと思います。

人によっては、PSEXの方が高域は地味で、PSXの方が高域が“出ている”と感じるかもしれません。でも私はPSXには高域に若干脚色された音色があり、PSEXではそれが消えているため、派手な高域にはならないから、そういう高域に慣れている人にはPSEXが地味に聴こえる。そういうことではないかと思います。

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3.シフ/『ゴルトベルク変奏曲』/J.S.バッハ (ピアノの独奏)から1曲目、2曲目
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■ER−PSX

いつ聴いてもいい演奏。録音も綺麗。不満なし。

■ER−PSEX

この演奏は満を持して試聴用に起用したものです。もともとPSXの音質はクラシック再生においてはじめに書いたような独特の長所を発揮していたため、演奏も録音も良いものでないとPSEXの長所がわかりにくいかもしれない、と思ったので、今まで試聴に重宝していたCDを全て見直して新たに選んだのが今回の3枚です。

その中でもこの演奏は倍音が豊かだといわれるピアノの独奏ものだけに、ひょっとしたら、単に高域が、低域が、定位が、などという要素以外に何かわかるかもしれないと思いました。

ある帯域や定位、音像、音場などの要素が良いと言ったところで、それが音楽鑑賞の際、PSX以上に音楽の感動や楽しさとして私に訴えかけてくることにつながらなければ、PSEXで聴く意味はありませんから。

2.に負けないくらい、これは衝撃の試聴になりました。

1曲目から2曲目にかけて、春風が大濠公園の池の水面を吹きぬけるようなさわやかな流れ、軽いピアノのタッチと美しい響きを聴くことができます。

PSXの場合、このCDでは極め付けの高いS/N感をベースにして普通に良い演奏、良い音質を楽しむことができますが、PSEXの場合、明らかにPSXでは感じなかったものをはっきりと感じます。それは、シフがいかに絶妙の指さばき(素人の私がこういう表現をするのはおかしいのですが、そう感じたのでそのまま書きます)を見せているのか、目に見えるような感覚なのです。鍵盤を叩く、触れる、その微妙な強弱が丸見えになっているような。

ハンマーが弦を叩いて音になり、そこから美しい響きが立ち昇る(大袈裟な表現ですが、これもそう感じたのでそのまま書きます)、その連なりが音楽となって流れ出す、シフがささやかな、そして絶妙の装飾を与えて次々と紡ぎ出した音の周囲には美しいオーラが煌いていて、一瞬光っては消えていく、そんな感じです。PSXではここまでの表現力はありませんでした。名演奏には違いないと思いますが、オーディオならではの、凄い録音ですね。

よく私(たち)は倍音がどうだとか響きがどうだとか音が厚いとか薄いとか定位がどうだとか低域がどうだとかエネルギー感がどうだとかS/N感がどうだとか音場がどうだとか言いますが、PSEXの表現力は間違いなく、その次元での視点では説明できない、音楽の本質に迫る大事なものを提示してくれている、そのことを確信しました。

これは自信があります。あまりに驚いたので、2回、繰り返してPSXとPSEXを交換して聴き直しましたから。

私はPSXの良さをよくわかっているつもりです。今使用しているスピーカーも、ぼけた音は出さないし、録音には敏感でモニターとしても優秀、プラグやケーブルの特長もよく出すし、ついでに言うと響きも豊かです。もちろんPSXにも鋭く反応しました。PSXには充分満足していました。なのに、PSXの再生がこれほど物足りなく感じるとは。程度としては微妙な差なのですけど、決定的に違う次元の音楽表現を感じました。

正直に言うと、私は、自分の今のシステムではこういう絶妙な表現を引き出すには単体の、100万円以上もするようなD/Aコンバーターでも導入しないことには無理だと考えていました。ケーブルにしても多少の工夫はしていますがハイエンドといわれるような価格の製品でかためているわけでもありませんし。

でも実際に、専門誌などで目にする「官能の・・・」といった調子の宣伝文句そのままという音楽を、自分の未完の、発展途上のシステムで聴いてしまいました。

私はこの試聴レポートのために、Eau Rougeをよいしょするためにわざわざ大袈裟な文章を練るほど暇人ではありません。好きな趣味の世界で心地よい快感に浸れたから、ちょっと嬉しいだけです。

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全体の感想
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試聴時の条件としてはPSXとPSEXの構造上の違いただ1点しかありませんから、この事実が示すことは単純だと思います。たった1箇所、構造にメスを入れただけで、重要な音楽情報が埋もれていたのを引き出した。

優秀録音のお墨付きをもらうようなCDには、かなり豊かな音楽情報が入っているけれども、それを引き出すのにハイエンド機などを持ち出す前に、もっとほかにやるべきことがあった。しかも、最も基本的な部分で。それを皆、見逃していた。ということでしょう。私のシステムでは、そういう結果が出ました。

付け加えれば、高域の変化は専門誌の紹介記事によるとコーティングの銀の質も高めたということらしいので、その効果なのでしょうか。

PSEXの全体の感触としては、PSXの方は音の出方がやや強めでテンションが高いのですが、PSEXではその感覚はなくて逆に余分な力が抜けたようです。それでもPSEXは抑揚は鮮やかだし、反応も鋭く、生き生きとした弾力感があります。高域の音色はより自然で、低域はより確かな表現力があるようです。

奥行きと立体感は言うまでもありません。弦楽器の音色は特に自然なものに近づいているようです。装飾的で派手な音は、PSEXからは一切聴こえません。だから聴く人によっては、これを地味だと感じる人もいるかもしれません。

誤解のないように書き加えますが、PSXに戻して音楽鑑賞してもがっかりするようなことはなく、これはこれで気持ちよい音質です。

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番外編
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ほかにも試聴したいCDはたくさんあったのですが、その中からアコースティック・ギターを試してみました。

KAKI KING/『LEGS TO MAKE US LONGER』より2曲目(ソロ・ギター)

これは極め付きの好録音盤です。普通のCD。ポップな演奏。

PSXでは鳴りっぷりがやや狭い感じ。でもこれは比較しなければ決してわからないレベルだと思います。PSEXの再生は、弦の震えもくっきり見えるような鮮やかさ。高域が引いているわけでもなく、音場優先で音像が犠牲になっている、といった感触も皆無です。逆にマイクが近い演奏なので音像はがっちり。胴鳴りも豊かで自然な感触。音色も一切嘘がない印象です。

とにかくあまりにもリアルな再生で、文句のつけようがありません。

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